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愛知県名古屋市の不倫慰謝料問題は
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浮気や不倫は、進め方によって結果が大きく変わってしまいます。支払われるべき慰謝料を、法的な手続きに則って最大限有利な条件で請求します。
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不倫慰謝料の問題は対応の仕方によって、不利になったり、裁判になったり結果が大きく変わってしまいます。支払う慰謝料を最低限に抑えられるよう、弁護士が法律家の立場から最適なサポートをいたします。
ヒラソル法律事務所は
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解決までの流れ
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検討
弁護⼠に無料相談後、そのままご依頼をなされる⽅もいれば、⼀定期間後に依頼者の⽅からご連絡をいただくこともあります。
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正式依頼・
書類作成・⽅針決定弁護⼠に無料相談後、そのままご依頼をなされる⽅もいれば、⼀定期間後に依頼者の⽅からご連絡をいただくこともあります。
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相⼿⽅の調査後
⽰談交渉開始依頼を正式にお受けしたら、直ちに依頼を受けた旨を相⼿⽅に通知、各種書類の作成、打ち合わせをして事案処理の⽬的や訴訟・調停・あっせん仲裁などの⽅針を決定いたします。
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⽰談成⽴・
裁判・解決⽰談が成⽴した場合は、和解契約書や⽰談書の取り交わし、⾦銭的なやりとりなどを⾏います。⽰談が成⽴しない場合は、裁判となります。
当法律事務所に
依頼する5つのメリット
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相⼿⽅と直接会わずに解決 -
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- ※弁護⼠に既に依頼している場合や複数の相談を受けている場合などのセカンド・オピニオンは30分5,400円の有料相談となります。
- ※弁護⼠に⽂書作成も含め依頼する意思がないことを前提に交渉の戦術・妥当性をご相談されたい⽅は、セカンド・オピニオンと同様の扱いとさせていただきます。
愛知県名古屋市の
解決事例
不倫され隠し子までいた夫との離婚交渉で多額の慰謝料を獲得した事例
- 依頼者
- 女性30代 出版会社会社員
- 相手方
- 男性30代 会社員
- 不倫相手
- 女性30代 会社員
- こども
- 2名、隠し子1名
長期のアドバイスが結実し、有利な離婚条件を勝ち取った事例
竹内匡史さんはシカゴ・コンサルティングのコンサルタントをしています。他方、髙橋七美さんは、名古屋市内の出版社シンシア出版の社員です。
二人は北海道の高校から知り合いでしたが、初任地がお互い名古屋市で意気投合し交際をしていました。しかし、シカゴコンサルの日本の本拠地は東京であり、匡史さんは週の半分は東京に駐在していました。
こどもは、ララとキキが生まれて、七美は3人での暮らしを楽しんでいました。最初は、毎週末は必ず帰ってきていた匡史さんですが本拠地のシカゴへの出張も増加し、面会できるのも2~3週間に一度しか面会できずだんだん口論が増えていきました。
シカゴコンサルは入社して1回は、シカゴで駐在することになり単身赴任を決めてしまいました。
ところが、七美さんの同期の水口かおりさんから、実は匡史さんは東京本社勤務で時折シカゴに出張しているだけで、千見寺さんというコンサルタントと不倫し隠し子の玲於をもうけているという噂となりました。
そこで七美さんはヒラソル法律事務所の弁護士に相談をしに来ましたが、ララさんとキキさんとの生活への不安を感じておられました。
有責配偶者の証拠を獲得後、匡史さんと示談交渉後調停調書を作成へ。
隠し子発覚、千見寺って誰?
弁護士が戸籍を請求したところ、隠し子の存在が明らかになりました。
最初は弁護士が前面に出ない作戦ですが、途中からは弁護士を通すと相手方も弁護士を交渉しました。
弁護士との交渉が続きましたが、将来の男性親の資産を孫に引き継がせることはできないかという打診もしていました。
有責配偶者が著しく酷にならないように条件整備
ヒラソルのズバリ解決
本件では、算定表では養育費は数万円程度でしたが、養育費については20万円を勝ち取りました。
また大学進学を前提に、22歳までを終期としたことや入学金の支払条項をもらえるようにしました。贈与税が発生しないように養育費と明記したことが良かった点といえます。
また、七美さんは大阪支社への転勤が決まっていたので、私立中学校以降の学費負担や留学資金の分担を求め承諾させました。
そして断られた祖父母の援助についても「申立人は、上記進学等により負担が生じる場合は、申立人の父母に必要に応じて援助を求めるなど子の福祉にに沿った努力をする」との条項が入りました。
また、学資保険や生命保険は名義書き換えを求め明日。
さて、養育費は事情が変更しても変更できないとの追加規程をもうけました。また訴外で新たに千見寺さんとの間に匡史さんが新たにこどもをもうけたとしても養育費の減額請求はしないとの合意をとりつけました。
離婚原因がなく単身赴任生活が長い男性会社員などの事例
- 掲載日
- 2020年2月14日
- 依頼者
- 男性(30代)会社員
- 相手方
- 女性(20代)
- こども
- 2名
- 裁判所
- 名古屋
事例内容(相談までの背景)
藤沢大地さんと藤沢久美子さんは、公務員の航空管制官として、それぞれ名古屋セントレア空港と羽田空港の管制官で勤務をしていました。両者は、婚姻後、ほとんど同居したことがなく、空良くん、開陸くんがときどき半田の官舎に遊びに来ていました。しかし大地さんとしては、今後は、福岡のATMC(太平洋航空交通管理センター)に異動が決まっており、今後の生活の本拠は福岡になりそうです。そのため同居したことがない妻との離婚を望み、また、精神的虐待、借金を求められるなどの理由で、依頼されました。
大地さんは、金銭管理を久美子さんに任せており、実質別居しているか不明ですが、久美子さん側は大地さん側の名義で得たローン財産などをそれなりに持っているという事情もありました。
当事務所の活動結果(受任まで解決まで)
当事務所としては、単身赴任は合理的理由のある別居であるため別居期間が積み重ならないことを危惧し、夫婦共同生活の意思を放棄したとの内容証明を送付しました。
交際相手は共産党系の弁護士を立ててきて、その弁護士と金額面での交渉をしようと試みましたが、共産党系は過激な主張を繰り返し「弁護士と議論はしません」などとの態度に終始しました。このような執務態度をみる限り、全員がそうではないのでしょうが実質的討論が成り立たない和解がへたくそな弁護士には依頼されない方が良いでしょう。
調停では、久美子さんは、解決金で600万円+養育費を請求しました。しかし、最終的には、養育費を増額することで離婚が成立しました。
解決のポイント
裁判上の離婚原因がない場合、過激な政党系弁護士は根拠のない暴利の金額を請求してきます。
今回も空良くん、開陸くんは、3歳、0歳でしたが、大学の学費で600万円というのは、家族法の議論ではありません。私は、法的根拠を明示するよう求め、裁判所の中で法的根拠を示せないのであれば、それは正当な弁護活動ではない、と述べて久美子氏側の弁護士は400万円まで減額してきましたが、それも拒否し最終的には当初の戦略どおりの金額に落ち着きました。
今回は、夫婦共同生活の意思をもった別居か、単身赴任の場合は問題が大きいといえます。調停委員は弁護士の内容証明到達時をもって別居時と解しましたが、裁判になれば、もっと早く実質別居が認められる可能性も高いように思われました。いずれにしても、共産党系の暴利な主張に屈せず正義を追い求める姿勢は当事務所のクレドです。
2020年2月14日 主筆執筆
愛知県名古屋市の
お客様の声
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わたしを担当してくださり、一緒に戦ってくださった弁護士のみなさまには、たいへん感謝しています。
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不貞を許すことはできませんが、あの時に慰謝料を取れたお陰で、少しは悔しい気持ちがましになった気がします。
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弁護士の先生方がついていて下さったから、ここまで頑張ることができました。
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諸々の手続きができるようにサポートしてくださって、非常に心強かったです。
よくある質問
Q
不貞している相手がまだ同居している場合、慰謝料は必要?
結論からいうと、多くの弁護士の見解は少額にとどまるとの見解を示していると思われます。
夫婦における保護法益は、「夫婦共同生活の平和の維持」にあるとされています。
そうすると、円満に戻っている同居状態だと「夫婦共同生活の平和の維持」に回復しています。
そこで考えてみるとA説とB説が考えられます。
A説は、不法行為は直ちに遅滞に陥るのであるから加害行為の時期も直ちにとらえるということになり、そして、一度、別居やケンカ・口論が絶えない状況に置かれた以上、それはその後回復されたからといっても、それなりの損害は支払わないといけない、という見解です。
これに対してB説は、損害は評価であり、口頭弁論終結時で決まるのであるから、それまでに円満に家庭が回復していれば損害は基本的にはなくなるので、認められるとしても少額にとどまるという、見解です。
個人的には、A説、B説、いずれにも難点があり、継続的に口頭弁論終結時までの夫婦共同生活を観察して、それを乱された程度を精神的慰謝として賠償を命じるという見解が相当のように思われます。
今般、同居している夫婦の夫が不貞した事件において、150万円の支払を命じる判決が言い渡されました。名古屋地裁平成29年9月4日は、約4カ月の不貞行為につき150万円という評価です。これは当事務所が勝ち取った判決です!
判決は、被告と夫が不貞行為を継続していた期間や原告と夫の婚姻期間、離婚や別居には至っていないものの、原告と夫との間で未だに不貞行為に関してケンカになることがあること、被告と夫の不貞行為の発覚後、原告は適応障害、抑うつ状態と診断されているところ、その時期からみて、不貞行為が一因となったことは否定できないことなどの事情に、その他本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、原告の精神的苦痛としては150万円を認めるのが相当である、というものです。
理論的にみると、この事件は、夫が不貞行為をしていたものの、特段別居をしていたという事情もなく、口論などがあったとか、うつ病になったとかの事情があるとおもわれますが、夫婦共同生活の平和は維持されており、その乱されたものが、どうだったか、というものであると思われます。もっとも、これは不真正連帯債務の関係にありますから、実質は75万円程度ということになるのだろうと思われます。こうした場合、リターンマッチ訴訟もあり得ますので、訴訟は、長引くので実務的ではないと考えられます。しかし、原告の精神的苦痛を考えるとき、離婚の話しや別居の話しも出ておらず、「乱された」程度の問題としては、やや損害の評価が高いのではないか、とも考えられます。
Q
不倫相手の責任は離婚の場合の一方と同等なの?
東京高裁昭和60年11月20日は次のように説示しており、まずは夫婦間の問題解決を促している。
「合意による貞操侵害の類型においては、自己の地位や相手方の弱点を利用するなど悪質な手段を用いて相手方の意思決定を拘束したような場合でない限り、不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあり、不貞の相手方の責任は副次的なものとみるべきである。けだし、婚姻関係の平穏は第一次的には配偶者相互間の守操義務、協力義務によって 持されるべきものであり、この義務は配偶者以外の者の負う婚姻秩序尊重義務とでもいうべき一般的義務とは質的に異なるからである。
本件についてみると、花子は控訴人に対して雇用主の妻という社会的、経済的に優越した立場にあったのであるから、控訴人の誘惑的言動も少なくとも初期においては、花子の意思の自由を拘束するようなことはなかったと認められ、このような状況の中であえて守操義務に違反した同女の責任が大きいことは否定し得ない。
このことを勘案すると、控訴人の行為にみられる無責任な享楽的傾向を考慮しても、被控訴人の精神的苦痛を慰謝するに五〇〇万円をもってするのを相当とした原判決(いわゆる欠席判決である。)の慰謝料額の判断は、いささか過大といわざるをえず、前認定の諸事実及び弁論の全趣旨に照らすと、被控訴人に対し支払われるべき慰謝料の額は金二〇〇万円をもって相当とする。」
同じく東京地裁平成4年12月10日も以下のように副次的なものとしています。たしかに、個々の具体的な事案をみるときには、殊に、不貞関係の発端、継続について不貞配偶者が主導的な役割を果たしている場合や、不貞関係の後に不貞配偶者に対しては宥恕しながら第三者に対してのみ不法行為責任を追及している場合などに、不貞行為の相手方となった第三者に対する慰謝料請求を認めることには、割り切れない点が残るところである。
横浜地判平1・8・30判時1347号78頁は、不貞関係の発端は不貞配偶者(夫)が被告女性を再々強引に呼び出して暴行脅迫を加えた上関係を強要したもので、肉体関係の継続についても不貞配偶者の暴行脅迫により続けられたという事実関係の下において、不貞の相手方女性に対する妻からの慰謝料請求を棄却している。
また、横浜地判昭61・12・25本誌637号159頁は、夫の不貞行為の相手方に対する妻からの慰謝料請求につき、認容額を低額にとどめた上(請求額1000万円に対して150万円を認容)、判決文中において、夫も妻に対して不法行為責任を負い、両者は不真正連帯債務となることを説示しているが、学説にも、不貞行為を理由とする損害賠償請求の認容額は名目的な額にとどめるべきであると説くものがある(島津一郎「不貞行為と損害賠償」本誌385号116頁)。
三 本件は、不貞関係の解消後、夫婦間の関係が修復して、妻は夫に対して宥恕していながら、不貞の相手方女性に対して慰謝料請求をしている事案である。宥恕しているのであれば、債権放棄をしているのではないか、と考えられてもおかしくないと思うところであり、50万円という少額とはいえ結論の妥当性という観点からは疑問が残るといえそうだ。
前記認定事実を前提として、判断するに、被告は原告と一郎とが婚姻関係にあることを知りながら一郎と情交関係にあったもので、右不貞行為を契機として原告と一郎との婚姻関係が破綻の危機に瀕し原告が深刻な苦悩に陥ったことに照らせば、原告がこれによって被った精神的損害については不法行為責任を負うべきものである。しかしながら、婚姻関係の平穏は第一次的には配偶者相互間の守操義務、協力義務によって維持されるべきものであり、不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあるというべきであって、不貞の相手方において自己の優越的地位や不貞配偶者の弱点を利用するなど悪質な手段を用いて不貞配偶者の意思決定を拘束したような特別の事情が存在する場合を除き、不貞の相手方の責任は副次的というべきである。
本件においては、
(1) 被告と一郎との関係は、職場における同僚であるが、一郎は主任として被告の上役にあったものであって、被告において一郎の自由な意思決定を拘束するような状況にあったものとは到底認められず、前記認定事実に照らせば、むしろ、右両名が不倫関係に至り、これを継続した経緯においてはどちらかといえば一郎が主導的役割を果たしていたものと認められること、
(2)原告と一郎の婚姻関係において不和を生じ、破綻の危機を招来したことについては、確かに被告と不倫関係を生じたことがその契機となっているとはいえ、夫婦間の信頼関係が危機状態に至ったのは一郎の生来の性格ないし行動に由来するところもあるものと認められ、また、一郎がこのような行動をとったことについては、原告と一郎との夫婦間における性格、価値観の相違、生活上の感情の行き違い等が全く無関係であったかどうかは疑問であること、
(3)婚姻関係破綻の危機により原告が被った精神的苦痛に対しては、第一次的には配偶者相互間においてその回復が図られるべきであり、この意味でまず一郎がその責に任ずるべきところ、原告はこの点について一郎に対する請求を宥恕しているものと認められること、
(4)原告が本件訴訟を提起した主たる目的は被告と一郎との不倫関係を解消させることにあったところ、本件訴訟提起の結果被告と一郎との関係は解消され、この点についての原告の意図は奏功したものと認められること、
(5)この結果、原告と一郎との夫婦関係はともかくも修復し、現在は、夫婦関係破綻の危機は乗り越えられたものと認められること(この点につき、原告は、本人尋問において、一郎と離婚するつもりであり、夫婦間の性交渉も拒否していることを供述するが、一郎は証人尋問において、原告から明確な形で離婚を求められたことはなく、平成四年五月以降は性交渉を含めて平穏な夫婦関係に復している旨を証言しているものであって、原告の右供述は、一郎の右証言内容及び周囲の客観的状況(原告と一郎は同居しており、現在に至るまで、原告から一郎に対して離婚調停、離婚訴訟等は一切が提起されていないことはもとより、離婚について親族を含めての話し合いが持たれたこともない。)に照らし、にわかに信じることはできない。原告本人の右供述は、法廷当事者席の被告に聞かせることを意識しての発言というほかはない。)、
(6)被告と一郎との関係解消は、一郎の反省によるというよりも、むしろ被告の主体的な行動により実現されたものであって、被告が勤務先を退職して岩手県の実家に帰ったことによって最終的な関係解消が達成されたこと、
(7)被告自身も一郎との不倫関係については相応に悩んでいたものであって、一郎との関係解消に当たって、勤務先を退職し、意図していた東京における転職も断念して岩手県の実家に帰ったことで、相応の社会的制裁を受けていること(これに対して、一郎は、従来の職場に引き続き勤務しているものであって、少なくとも社会生活上の変化はない。)
等の各事情が指摘できるところである。
右各事情に加えて、その他本件において認められる一切の事情を考慮すれば、本訴において認容すべき慰謝料額は金五〇万円をもって相当と認める(ところで、原告の被った精神的苦痛に対しては、一郎も不法行為に基づく損害賠償債務を負うことが明らかであるところ、被告の義務と一郎の義務とは重なる限度で不真正連帯債務の関係にあって、いずれかが原告の損害賠償債権を満足させる給付をすれば他方は給付を免れ、給付をした者は他方に対して負担割合(本件においては、一郎の負担割合は少なくとも二分の一以上と認められる。)に応じて求償することのできる関係にある、と解される。)。
なお、付言するに、本件においては、現在、本件訴訟の提起を契機として被告と一郎との関係は完全に解消されており、被告においてはもはや一郎との交際の再開を全く考えておらず、一郎においても、被告と関係を持ったことを反省して、原告との夫婦関係を修復してこれを維持していくことを強く希望していることが認められるものであるから、原告においても、過去における被告と一郎との関係に徒らに拘泥することなく、今はむしろ、一郎との間の夫婦関係を速やかに修復して、ふたりの間の信頼関係の構築に務め、今後夫婦関係を平穏、円滑に発展させていくことが、強く望まれるところである。
Q
不倫内縁の場合、法的保護はありますか。
不倫関係にある男女の場合、女性の側としては男性側に素早く離婚をして、前婚を清算して欲しいと考える気持ちが多いと思います。
原則的には、離婚の際も不倫にはペナルティがあるくらいですから、内縁も原則は法的保護は受けられないと考えておいた方がよさそうです。
しかし、法律婚が実態を喪失している場合には、通常の内縁と同じような取扱いとなると考えられます。
法律婚が形骸化しているとのポイントは、別居期間、当事者の離婚意思、不倫的内縁関係の継続期間、法律婚当事者での経済的給付や交流の状況などから判断されます。
例えば、離婚をしていなくても、婚姻関係が破綻しているということであれば、内縁の妻に内縁解消に伴う財産分与を認めたものもあります。
また、法律上の妻とは離婚することになっているとの男性の説明を受けた女性が、不倫関係に入り、3人の子どもをもうけ住居も購入していたという事案では、内縁妻からの夫に対する内縁解消にともなう慰謝料が認められたものもあります。
このように民法上のものは良いのですが、内縁のっ妻の遺族年金の受給になるとハードルがかなり高くなるといえます。つまり「配偶者」がいるわけですから、国としても二重に支給するというわけにもいかないため、民法上の婚姻破綻よりも更にハードルを上げて形骸化まで要求しています。国の基準は厳しく、重婚的内縁については届出による法律婚がその実体を全く失っているときに限り事実婚関係にある者として認定されるものと考えられています。これはトレードオフなので、ここまでいうと、「配偶者」も国は形骸化していたのでは、といってきそうな勢いですが、「その実体を全く失っている」というのが、どのような場合をいうかが問題となります。それは、当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが、戸籍上の届出を出していないにすぎない場合、一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態がおおむね10年継続し、そのまま状況が固定化している場合などが挙げられます。
そして夫婦生活が続いていないことが条件となりますから、法律婚側との間では、・・・
当事者が住居を異にすること
当事者間の継続的な依存関係が存在しないこと
当事者間の意思疎通をあらわず音信又は訪問等の事実が反復して存在しないこと
です。これは、現在のねんきん事務所でも広く利用されている基準で、客観的要件を重視していることが分かりますが、面会交流や法律婚妻との交流を安易に行うと、内縁妻が社会的保障(社会保障上の給付)を受けられなくなるおそれがありますので、注意が必要といえます。
これは、法律が異なるので仕方がないですが、民法の問題となる関係では比較的容易に法的保護が認められやすいところがありますが、行政法の世界になると、社会保障上の給付(特に遺族年金)は、相当慎重に判断がなされています。
実績を重ねてTV電話にて
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事務所名 | 名古屋駅ヒラソル法律事務所 |
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本社所在地 | 〒450-0002 名古屋市中村区名駅5丁目6-18 伊原ビル4F |
電話番号 | 052-756-3955 |
設立 | 2013年6月 |
代表取締役 | 服部 勇人(愛知県弁護士会) |
業務時間 |
平日・土曜:午前9時~午後6時
|
弁護士コラム
不貞など不倫に関するコラムです。
不貞・財産分与に関するコラム
夫がニューヨークで不倫関係に陥ったらどうなるのか。
結論的には、日本に帰る場合、慰謝料請求が認められてしまうとの東京高裁の判例が出ました。
公務員がニューヨークで不倫をして、不倫相手も同じく日本に帰ったというものでした。
ニューヨークでは、法令によって不貞の慰謝料が否定説が採用されているため、ニューヨーク法が準拠法の限り、慰謝料請求が認められませんでした。
前提事実として、ニューヨークで2年3か月、東京で3年6か月の不貞期間がありました。東京高裁は日本の不貞期間が長いことに着目して妻からの慰謝料請求を認めました。
東京高等裁判所令和元年9月25日
1 事案の概要
事実関係の概要は,次のとおりである。
妻である妻と夫である太郎は平成15年に婚姻した夫婦であり,平成21年までに3人の子をもうけた。太郎は日本国内で公務員として勤務し,妻は専業主婦であった。太郎は,約3年の予定で米国NY州に海外勤務することになり,平成25年3月に家族全員でNY州に引っ越した。同年10月頃には太郎の勤務先の同僚である女性花子(日本国籍・米国永住権あり)と太郎との間の不貞関係がNY州で始まり,花子は,太郎から,太郎の家族関係などを知らされた。
同年末には太郎が花子の住居で寝泊まりするのを常とするようになり,妻は太郎から花子が太郎の子を懐妊したことを告げられた。平成26年9月には花子が太郎の子を出産した。
平成27年には妻が太郎を相手方としてNY州の裁判所に短期保護命令や養育費支払調停の申立をするに至った。太郎の米国勤務が平成27年12月に終了することが決まると,YらはYらの子と3人で日本で同居することを選択して日本国内での住居を確保した。太郎は,妻と子3名の日本国内での住居は確保せず,婚姻費用(生活費)の任意の送金も一切しなかった。妻と子3名は,太郎から悪意の遺棄を受けたような状態になり,帰国後は日本国内の妻の実家に身を寄せざるを得なくなっている。不貞行為の期間は,NY州が約2年3箇月,日本が約3年6箇月である。
2 第1審判決の判断
第1審判決は,不法行為の準拠法を結果発生地法としたが,複数の結果発生地がある場合については判断を示さなかった。第1審判決は,妻と太郎との婚姻関係破綻の時期がNY州滞在中の平成27年8月であり,妻の妻としての権利侵害,婚姻共同生活平和維持の法的利益の侵害という結果発生地はNY州であるから,準拠法はNY州法であると判断した。
3 控訴審判決の判断
控訴審判決は,本件は,NY州と日本において行われた一連の一個の不法行為であり,複数の結果発生地がある場合であると判断した。その上で,複数の結果発生地がある場合における不法行為の準拠法は,最も重要な結果が発生した地の法であると判断した。結果の軽重が判断できないときは,最初の結果発生地であるとも判断したが,本件においては結果の軽重が判断できると判断しているので,傍論にすぎないことになる。
その上で,本件においては,妻と太郎一家の夫婦共同生活は基本的には日本で営まれており米国勤務は一時的なものにすぎなかったこと,不貞行為はNY州で終了せずに切れ目なく日本において継続されたこと,妻と子ら3名はNY州では不十分ながらも太郎から衣食住の提供を受けていたが,日本帰国時には悪意で遺棄されたも同然の扱いを受けたこと,花子は交際開始時に太郎の家族関係や米国赴任の事情を知らされていたこと,花子も不貞行為をNY州で終了させずに太郎及び子と同居して日本国内においても不貞行為を継続したこと,妻と太郎の婚姻関係が不貞行為開始前に破綻していたことや離婚の約束があったことを認めるに足りる証拠はなく,花子が太郎の離婚の約束の説明を真に受けたことには過失があることなどの事情があり,不貞行為期間がNY州約2年3箇月,日本約3年6箇月であることなどを考慮すると,最も重要な結果が発生した地は日本であり,準拠法は日本法であると判断した。
4 不貞行為が民事上の賠償請求の原因にならないという国内法制を採用する国や地域は多い。1個の不貞行為がそのような他国と日本とをまたいで継続的に続いた場合には,準拠法が他国法であれば賠償責任がないが,準拠法が日本法であれば賠償責任があることになるので,本件のような紛争が発生するわけである。類似の裁判例がないようであるので,参考として紹介する。
5 安藤弁護士によりますと、これをニューヨーク州を準拠法として、棄却するとなると事案が悪質なので相当ではないと思われるのです。ニューヨーク州では不貞の慰謝料請求が禁止されています。
不貞カップル間でこどもができている。
一連一体で評価されると最終行為時で判断されることになるので、従って、日本入国後に遅滞に陥るという判断になったものではないかと思われます。
6 安藤先生、日本国内に入国した後なのですが、日本入国時に婚姻関係が破綻しているとも思われます。なお、この事件は、不貞相手と不貞配偶者を共同被告として、不貞自体慰謝料を請求したものであり、いまだ離婚は成立しておりません。この点、信義則上なども考慮されているのではないか、と思われます。そのため一連一体となっています。婚姻関係の破綻が一連一体のため、判断されていない点は疑問もあります。
7 第1審原告と第1審被告Y1の家庭における夫婦共同生活は,平成15年の婚姻当初からその全期間にわたって,日本において営まれることが予定されていた。NY州における夫婦共同生活は,勤務先の都合により,平成25年3月から3年間限定の予定で行われたにすぎず,NY州勤務終了後は,日本における夫婦共同生活を続ける予定であった(渡米前の時点で帰国後に離婚する合意があった旨の第1審被告Y1の主張は,これを的確に認めるに足りる証拠がない。)。また,第1審被告Y1の不貞行為は,NY州滞在期間中に終了せず,切れ目なく日本においても継続して行われた。第1審原告及びその3人の子は,NY州においては不十分ながらも第1審被告Y1から衣食住の提供を受けていたのに対し,NY州から日本に帰国する際には,日本国内における収入及び住居の確保もされないまま,第1審被告Y1による悪意の遺棄の被害者となった。NY州における結果発生期間は約2年3箇月間であってこれ以上増えることはないのに対し,日本における結果発生期間は約3年6箇月間であって今後も時の経過とともに増加していくという関係にある。
以上の点を総合すると,日本において発生した結果は,NY州において発生した結果よりも,明らかに重大である。よって,準拠法は日本法と解すべきである。
(5) 本件は,NY州及び日本において行われた1個の一連の不法行為であり,その準拠法は日本法と解するのが相当である。
なお,仮に,日本における不法行為(平成28年1月以降)とNY州における不法行為(平成25年10月から平成27年12月まで)を分割して2個の不法行為と解すべき場合には,日本における不法行為の準拠法は日本法であり,NY州における不法行為の準拠法はNY州法であると解すべきことになる。
第3 第1審被告Y2に対する請求に関する準拠法についての判断
1 法律関係の性質決定
本件の法律関係の性質は,不法行為である。
2 準拠法の決定
(1) 不法行為の準拠法が加害行為の結果発生地であること,結果(第1審原告の婚姻生活の平和の侵害)の発生地は,平成25年10月からの約2年3箇月間はNY州,平成28年1月から当審口頭弁論終結までの約3年6箇月間は日本であること,複数の結果発生地がある場合は最も重大な結果が発生した地,結果の軽重の判断ができないときは最初の結果発生地が結果発生地となるべきことは,前記第2の2の(1)から(3)までに説示したとおりである。
(2) 本件においては,最も重大な結果が発生した地として結果発生地となるのは,NY州ではなく,日本と解するのが相当である。
前記認定事実によれば,次のようにいうことができる。すなわち,第1審被告Y2が第1審被告Y1の不貞行為の相手方となる行為は,第1審被告Y1のNY州滞在中に終了せず,切れ目なく日本においても継続して行われた。第1審被告Y2は,交際開始時に,第1審被告Y1の職業上の地位(○○省に出向中の日本の国家公務員であり,赴任期間経過後は家族とともに日本に帰国することが予定されていること)及び家庭の状況(妻である第1審原告と3人の子がいること)を知っていた。第1審被告Y2は,平成25年の交際開始後まもない時期に,第1審被告Y1の子の懐妊及び出産に直面して,第1審被告Y2及びその子が日本に帰国することにより日本における第1審原告の婚姻生活の平和を侵害することを予見していたものと推認される。平成27年後半に第1審被告Y1の日本への帰国予定が現実化した際には,第1審被告Y2は,日本国内における官舎で第1審被告ら及び子の3名が共同生活をすることを計画し,帰国後に計画を実行したものと推認される。これに伴い,第1審原告及びその3人の子の家庭の平和が著しく乱されて,経済的窮境に陥る可能性について,第1審被告Y2は予見可能であったと推認される。NY州における結果発生期間は約2年3箇月間であってこれ以上増えることはないのに対し,日本における結果発生期間は約3年6箇月間であって今後も時の経過とともに増加していくという関係にある。
以上の点を総合すると,日本において発生した結果は,NY州において発生した結果よりも,明らかに重大である。よって,準拠法は日本法である。
(3) 第1審被告Y2は,米国人の子として米国の永住権を有すること,第1審被告らには米国永住構想があったことから,結果発生地はNY州であると主張する。
しかしながら,交際をNY州内で終了させることなく,NY州内から日本国内まで切れ目なく継続させていることを考慮すると,第1審被告Y2が米国の永住権を有することを重視することはできない。また,第1審被告らの間に,具体的な実現可能性を伴う米国永住構想があったことを認めるに足りる証拠はない。
なお,第1審被告Y2は,交際開始の頃に,第1審被告Y1の家族関係と平成28年3月の帰国時に離婚予定であることの説明を,第1審被告Y1から受けていたと主張する。しかしながら,第1審被告Y1の説明は,第1審被告Y1による離婚条件の提案が記載された第1審原告宛てメールと,本気で記載したのか分からない内容の第1審原告からの返信メールに基づくものにすぎない。第1審被告Y2は,夫婦の双方が署名した離婚合意書などの文書や,第1審原告に対する直接の意思確認などの確実な確認方法をとっていない。第1審被告Y1に見せてもらった第1審原告からの返信メールは,第1審被告Y1が離婚請求の手続を開始した場合には,長期間にわたる泥沼の離婚紛争が発生することを予測させる内容のものであった。これらの点を考慮すると,NY州滞在が終了すれば離婚となる(日本における法益侵害の結果は生じない。)という第1審被告Y1の説明を真に受けたことを重視することはできない。第1審被告Y1の説明を真に受けたことについて,第1審被告Y2に過失があることは,明らかである。
(4) 本件は,NY州及び日本において行われた1個の一連の不法行為であり,その準拠法は日本法と解するのが相当である。
なお,仮に,日本における不法行為(平成28年1月以降)とNY州における不法行為(平成25年10月から平成27年12月まで)を分割して2個の不法行為と解すべき場合には,日本における不法行為の準拠法は日本法であり,NY州における不法行為の準拠法はNY州法であると解すべきことになる。
第4 第1審被告Y1に対する請求についての判断
1 日本法に基づいて判断すると,第1審被告Y1の不貞行為は,第1審原告の家庭(婚姻生活)の平和を侵害するものとして,第1審原告に対する不法行為となる。
2 第1審被告Y1は,第1審被告らが性的関係を持つようになったのは平成25年12月8日以後のことであり,当時既に第1審原告と第1審被告Y1との婚姻関係は破綻していたから,日本法によっても第1審被告Y1の行為は不法行為に当たらないと主張する(最高裁第三小法廷平成8年3月26日判決参照)。
しかしながら,前記認定事実によれば,第1審原告と第1審被告Y1との婚姻関係が破綻に向けて悪化していったのは,第1審被告らの不貞関係が第1審原告に発覚したことに原因があり,発覚前に婚姻関係が破綻していたということはできない。第1審被告Y1は,渡米前に夫婦双方が離婚意思を示し,帰国後に離婚する旨の合意が成立していたとも主張するが,そのような事実関係を認めるに足りる証拠はない。
3 婚姻関係破綻後の第1審被告Y1の不法行為責任について検討する。
婚姻関係破綻後に夫婦の一方(第1審被告Y1)と性的行為をした第三者(第1審被告Y2)は,特段の事情のない限り,他方配偶者(第1審原告)に対する不法行為責任を負わないと解される(最高裁第三小法廷平成8年3月26日判決参照)。同様に,夫婦の一方(第1審被告Y1)も,婚姻関係破綻後の第三者(第1審被告Y2)との性的行為については,特段の事情のない限り,他方配偶者(第1審原告)に対する不法行為責任を負わないと解される。
前記認定事実によれば,第1審原告と第1審被告Y1の婚姻関係は,当審口頭弁論終結時においては,破綻しているものと認定せざるを得ない。その破綻の時期は,第1審被告Y1の帰国が決まり,第1審原告がNY州で保護命令の申立てや養育費支払調停の申立てを行わざるを得なくなり,第1審被告Y1が第1審原告及びその3人の子を悪意で遺棄することを決断した平成27年11月頃であると解される。そうすると,特段の事情のない限り,平成27年11月以降の不貞行為については,第1審被告Y1は第1審原告に対する不法行為責任を負わないことになる。
そこで,特段の事情の有無について検討する。破綻の原因は,専ら,不貞行為と悪意の遺棄を実行した第1審被告Y1にある。そして,不貞行為が婚姻関係の破綻の原因となっている場合であって,破綻の前後を通じて不貞関係が切れ目なく継続している本件のような場合については,婚姻関係破綻後も不法行為責任を負うべき特段の事情があるというべきである。前記最高裁判例の趣旨は,法律婚を保護すべき必要性があるとしても,婚姻関係の破綻と無関係な破綻後の第三者との性的関係についてまで賠償責任を認めるのは,法律婚の過剰な保護に当たるから,不法行為責任の成立範囲を限定するという点にある。婚姻関係の破綻に原因を与えた不貞行為が破綻の前後を通じて切れ目なく継続している場合には,破綻後の性的関係の違法性が阻却,消滅すると考えることは,社会倫理や常識に反し,法律婚の保護の趣旨にも反するからである。
以上によれば,第1審被告Y1は,不貞行為を開始した平成25年10月から当審における口頭弁論の終結(令和元年7月)までの期間について,第1審原告の家庭(婚姻生活)の平和を侵害したことについての不法行為責任を負う。
4 本件に顕れた全ての事情を総合すると,第1審被告Y1が賠償すべき慰謝料額は300万円が相当である。弁護士費用相当額の損害は,その1割に当たる30万円が相当である。
第5 第1審被告Y2に対する請求についての判断
1 日本法に基づき判断すると,第1審被告Y1の不貞行為の相手方となった第1審被告Y2の行為は,第1審原告の家庭(婚姻生活)の平和を侵害するものとして,第1審原告に対する不法行為となる。
2 第1審被告らの性的関係は婚姻関係破綻後の平成25年12月8日以後のことであるから不法行為に当たらないとの主張が採用できないことは,第4の2において説示したとおりである。
また,前記認定事実によれば,第1審被告Y2は不貞行為開始時に第1審被告Y1の家庭の状況(妻である第1審原告と3人の子がいること)を知っていたにもかかわらず,帰国後に離婚する合意ができているという真実と異なる内容の第1審被告Y1の説明を不注意にも信じてしまったものと言わざるを得ないから,第1審原告に対する不法行為責任を免れない。
3 婚姻関係破綻後の第1審被告Y2の不法行為責任について検討する。
婚姻関係破綻後に夫婦の一方(第1審被告Y1)と性的行為をした第三者(第1審被告Y2)は,特段の事情のない限り,他方配偶者(第1審原告)に対する不法行為責任を負わないと解される(最高裁第三小法廷平成8年3月26日判決参照)。第1審原告と第1審被告Y1の婚姻関係が平成27年11月頃に破綻したことは,第4の3において説示したとおりである。そうすると,特段の事情のない限り,平成27年11月以降の不貞行為については,第1審被告Y2は第1審原告に対する不法行為責任を負わないことになる。
そこで,特段の事情の有無について検討する。婚姻破綻の原因が専ら第1審被告Y1にあることは,第4の3において説示したとおりである。そして,第三者が,自己と夫婦の一方との性的行為が婚姻関係の破綻の原因となったことを知り,又は知らないことに過失がある場合であって,破綻の前後を通じて性的関係が切れ目なく継続しているときには,婚姻関係破綻後も不法行為責任を負うべき特段の事情があるというべきである。前記最高裁判例の趣旨は,法律婚を保護すべき必要性があるとしても,婚姻関係の破綻と無関係な破綻後の夫婦の一方との性的関係についてまで賠償責任を認めるのは,法律婚の過剰な保護に当たるから,不法行為責任の成立範囲を限定するという点にある。婚姻関係の破綻に原因を与えた性的行為が破綻の前後を通じて切れ目なく継続している場合には,破綻後の性的関係の違法性が阻却,消滅すると考えることは,社会倫理や常識に反し,法律婚の保護の趣旨にも反するからである。
以上によれば,第1審被告Y2は,不貞行為を開始した平成25年10月から当審における口頭弁論の終結(令和元年7月)までの期間について,第1審原告の家庭(婚姻生活)の平和を侵害したことについての不法行為責任を負う。
4 本件に顕れた全ての事情を総合すると,第1審被告Y2が賠償すべき慰謝料額は300万円が相当である。弁護士費用相当額の損害は,その1割に当たる30万円が相当である。この総額を,第1審被告Y1と連帯支払すべきである。
ベッキーさんのようにLINE流出した不倫慰謝料ならお任せ!
本日は、数年前話題になりましたベッキーさんとゲスの極み乙女さん(以下「乙女」という。)との不倫について話し合いましょう。
インタビュアー:服部
回答者:安藤
まず、ベッキーさんと乙女さんの不倫問題はどのようなものだったのでしょうか。
引用ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e7288635cac2530c6977f8af4546d38e99c764f
「ベッキー・川谷絵音の「ゲス不倫」騒動から、まる4年が過ぎた。スクープしたのは16年1月7日発売の「週刊文春」だが、それを察知したベッキーが前日に記者会見で「お付き合いということはなく、友人関係」と弁明。
しかし、翌週の同誌には川谷の妻のインタビューが載り、さらにその翌週号であのLINEのやりとりが公開された。
ベッキー「友達で押し通す予定! 笑」 川谷「逆に堂々とできるキッカケになるかも」 ベッキー「 私はそう思ってるよ!」 川谷「ありがとう文春!」 ベッキー「センテンス スプリング!」
会見前日に交わされていたこの会話が致命的なイメージダウンをもたらし、ベッキーは翌月から休業。ふたりは破局する。また、川谷は離婚」
ベッキーさんは11月ころまで乙女さんが既婚者を知りませんでした。
この場合、乙女の奥さんに損害賠償を支払わらないといけないのでしょうか。
不倫問題にうるさい安藤弁護士に聴いてみました。
まず原則としては当初は故意がないということになりますね。
わざとじゃないと不倫をしても良いのですか?
過失が認められる場合があります。もっとも、ロック歌手の場合は私生活を詳らかにしない例もありますので、最初はベッキーさんは、故意も過失もなかったと思います。この段階では、「騙されている女性」という評価すら可能でした。
過失ってなんでしょう??
過失は、客観的注意義務違反ですが、例えば、同じ会社の同僚の場合で、独身であると信じたとか、こどもの話しが出たのに信じたとか、ホントかなと疑われる場合に認められます。本質的には、相手が既婚者であると調査をすることですね。ただ、何らかの契機がない限りこのような注意義務は認められないと考えています。
ですので結婚しているけれども破綻していたと信じたとは異なり、そもそも結婚を知らない場合、このような義務が生じるかは判例上ビミョウです。しかもベッキーさんは当初は義務違反はないと思います。乙女さんは有名人ではありますが、フェイスブックなどを確認する義務などもないわけではないかもしれません。
11月ころに乙女から既婚者であることを打ち明けられています。
この場合、ベッキーさんは交際を続けても良いのですか。
知って以降の交際は不貞行為になってしまいますので乙女さんの奥さんに損害賠償義務を負う場合があります。ベッキーさんは「自分は不倫はしない」というポリシーであれば、この時点で別れていれば、問題ないということになっていましたね。
ただ、その場合、乙女さんと奥さんとの婚姻関係が破綻していれば、損害賠償義務は負いません。
そこで安藤先生にお尋ねしたいのですが、この場合、12月に乙女さんは離婚を妻に切り出しているので、婚姻は破綻したといえるのですか?
離婚を切り出しただけではいえないでしょう。有責配偶者からの切り出しなら猶更認められないですね。
そうするとまだ破綻していないということですか。
まあ、そういうことですね。ただし有責配偶者ですので、なかなか離婚は困難です。最低5年説によれば。
この後、LINEによると、大阪で落ち合って手をつないでいるというLINEがありますけれども、これで肉体関係は裁判所に認定されてしまうのですか。
必ずしも認定されるとは限りません。性交渉を連想させるものではありませんので。
本当に幸せでした。ありがとう、愛情を示すLINEにあってもダメですか。
実際上、法律的には有意な差異までは認められないと考えられます。
次に12月25日はお泊り疑惑があるのですが、LINEをみると、お泊りをしたとは断定的には書かれていません。一緒にいるだけでただただ幸せだった。色々ごちそうしてくれたり。というLINEの場合は宿泊は認定できるのですか。
ビミョウなところです。イブとクリスマスがずっと一緒であれば肉体関係の推認ができないこともないでしょう。
乙女さんと奥さんは、12月の終わりごろに再び別れ話をしていますが、これで破綻ですか?
破綻とはいえませんが、夫婦関係の毀損に伴い損害賠償額に影響が出る可能性があります。
ところでベッキーさんは公式な仲になれると考えて「不倫ではない」というLINEを送っているようですがどうでしょう。
不倫です。まあいつかわからないけれどもこの時点では乙女さん夫婦が破綻しているとまでは言い難いと思います。
安藤先生、乙女さんの奥さんに別れたと嘘をついて、「エンレン」というのはいけないことですか?
損害額の増額要素になります。別れたといったにもかかわらず、実は関係しているから損害額が大きくなるのです。
あと友人だとベッキーさんは弁護士を通じて嘘をついてもいいのですか。
弁護士を介している場合は、嘘はダメです。また、私の経験ですと友人だから性交渉しないというのは成り立ちません。あまり適当ではない主張だと思います。
想像ですが、ベッキーさんが支払うべき慰謝料はいくらくらいですか。
結果的に離婚していますので重大ですね。ベースが150万円から200万円くらいだと思います。裁判官によるところもあると思います。
今回はベッキーさん不倫問題を取り上げました。
なお収集方法によっては慰謝料減額要素になることもあるかもしれません。
参考:https://grapee.jp/479629
https://www.oricon.co.jp/news/2064920/photo/1/
不倫しても離婚でしっかり財産分与を獲得する方法
離婚後の生活に困らないためには、しっかり財産分与を獲得しておく必要があります。このことは不倫をしていた場合でも財産分与請求権は離婚時に発生をします。ですから不倫慰謝料請求は名古屋駅ヒラソルの無料相談にお任せ!でもとりあげようと思いました。ただ、不倫によって有責配偶者として離婚する場合は感情的に財産分与を請求しにくくなるものです。そのような場合は弁護士に依頼をしましょう。財産分与は生活再建としての意味があるので、このことは有責性と矛盾することがありません。
財産分与の際には、相手が財産隠しをする可能性もありますし、計算方法がわからないケースもあるでしょう。損をしないためには、正しい知識と紛争解決の経験が必要です。
以下では財産分与をしっかり獲得する方法を、名古屋の弁護士がご説明します。
1.話し合いをする前に、できるだけたくさんの財産の資料を集める
財産分与で損をしないためには、対象財産に漏れを生じさせないことが大切です。漏れが生じると、その分取得額が減ってしまうからです。
そのためには相手と話し合いを始める前に、自分でできる限りたくさんの財産に関する資料を集めましょう。
たとえば以下のような資料の原本やコピーを手元に集めます。
預貯金通帳、出入金明細
不動産の全部事項証明書
固定資産評価証明書
不動産の査定書
車検証
車の査定書
保険証書
保険の解約返戻金証明書
社内積立の存在がわかる給与明細書
持ち株会の報告書
証券会社から届いた報告書等の書類
事前に上記のような資料を入手していれば、財産分与の話し合いもスムーズに進められます。
ただし相手名義になっていて自分では入手できない場合には、話し合いが始まってから相手に開示させましょう。
2.相手の隠し財産を調べる方法
財産分与の話を始めると、相手が財産を隠して開示しないケースもよくあります。
その場合、一定の範囲ならば調べられる可能性もあります。たとえば生命保険や証券会社との取引などについては、弁護士が照会することによって開示を受けられる可能性があります。
どうしても開示させられない場合、調停や訴訟を行い、その手続きの中で開示を求めていく必要があります。たとえば調停では調停委員が相手に対し任意の開示を促してくれます。(なお、岡崎、豊橋の裁判所では、調停でも下記の調査嘱託が認められる場合があります。)
訴訟になった場合には、裁判所から金融機関に調査嘱託をして履歴や残高に関する資料を開示させることが可能です。
ただし財産開示をさせるには、財産が特定されている必要があります。つまり「どこの金融機関のどこの支店の口座か」を申立人が指定しなければなりません。「全国の金融機関のどこかに口座がある」という状態では開示請求できないので、事前にある程度の目星をつけておく必要があります。
3.財産分与の割合は原則2分の1ずつ
財産分与を取り決める際には、「割合」が問題になるケースもよくあります。たとえば熟年離婚で男性の給料が高く妻が専業主婦のケースなどでは、よく夫側が「婚姻中、自分の収入で生活していたのだから、多くの財産分与を受け取るべきだ」と主張します。
しかし財産分与の割合は、基本的に夫婦が2分の1ずつです。たとえ専業主婦であっても家事労働をしていた以上、半額の財産分与を獲得する権利があります。
財産分与の割合が変更されるのは、夫婦のどちらか一方の特殊な技量や専門スキルなどにより、極端に高額な収入を得ている場合などです。たとえば夫が事業家などで一般と比べても極端に高い収入を得ている場合、夫が医師で病院を経営しており非常に多額の収入を得ている場合などには、財産分与割合を修正される可能性があります。
それ以外の一般的なケースでは2分の1ずつになると考えましょう。
4.財産分与の基準時は「別居時」または「離婚時」
財産分与で損をしないためには「基準時」についての知識も重要です。基準時とは、財産分与の基準となるタイミングです。つまり「いつの時点で存在した財産を対象にするか」ということです。
財産分与の基準時は基本的に「離婚時」です。離婚するときに夫婦の家計が別々になり、財産も個々になるからです。ただし離婚前に別居した場合には、別居した時点で家計や財産が分かれるので、別居時が基準になります。弁護士が関与するご相談では別居時や調停時が財産分与基準時となる場合もあります。
するとどのようなことが起こるのでしょうか?
別居時を基準とすれば、別居後に夫婦の一方が財産を使い込んだ場合、そのことはなかったこととして財産分与が行われます。
たとえば別居時に夫が2,000万円、妻が200万円の財産を持っていたとします。夫は別居後お金を使い込んで1,000万円にまで財産を減らしてしまいました。
この場合でも妻は別居時の財産額2,200万円を基準に財産分与を計算できるので、夫に対して1,100万円の支払いを求めることが可能です。
夫の立場からすると、手元には1,000万円しかないのに妻に1,100万円を払わねばなりません。
以上のように財産分与では「使い得」は許されないので、おぼえておいて下さい。なお、別居後のローンの支払いは「特有財産」とされますので、別居時以降にその範囲が膨張することはありません。
5.財産分与の進め方
財産分与をするときには、以下の手順で進めましょう。
5-1.資料を集める
最初に説明したように、話し合いをする前にできるだけたくさんの資料を集めておくことが重要です。スマートフォンの写メの仕組みを使うのが便利です。
5-2.相手に離婚と財産分与の話合いを持ちかける
資料が揃ったら、相手に離婚したいことを伝え、財産分与の話を持ちかけます。自分が集めた資料類を前提としつつ、相手が管理している財産の開示をさせましょう。財産分与を持ち掛けるタイミングは隠されないように慎重にしましょう。
全部開示した上で、話し合いによって2分の1ずつに分けます。すでに別居している場合には、別居時の残高などを基準にしつつ公平に分けていきましょう。
5-3.離婚調停を申し立てる
もしも協議で合意できなければ、離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停では調停委員が間に入って財産分与についての調整をしてくれます。相手が財産隠しをしていれば、開示を求めることも可能です。
ただ調停は話し合いの手続きなので、合意ができなければ解決は不可能です。財産分与はまとまらないと離婚訴訟をしないといけません。ですから、財産分与の額が大きくなる場合は訴訟も見据えて離婚弁護士に依頼するかを決めましょう。特に岡崎支部や豊橋支部では、調停担当裁判官と離婚訴訟担当裁判官が同一人物であることがあるため、調停の段階から訴訟並みの活動を求められることがあります。これは名古屋家庭裁判所本庁でも変わらないといえるでしょう。
5-4.離婚訴訟で決定する
調停でも解決できず不成立になってしまった場合には、離婚訴訟を申し立てて解決する必要があります。訴訟では、相手が財産を隠していても、一定の限度で裁判所から調査をしてもらうことが可能です。この場合は弁護士への委任をするのが一般的です。
最終的には、提出された資料などから裁判所が適切な財産分与方法を決めて和解を勧告するか、判決で指定します。
6.もしも離婚時に財産分与しなかった場合、財産分与調停を申し立てる
協議離婚の場合、財産分与をしないまま離婚する場合もあります。そういったケースでは、離婚後に財産分与を求めることが可能です。例えば離婚自体を急ぎたい事情がある場合や親権争いを優先させたため財産分与を後回しにするケースが考えられます。
離婚後、相手に直接話し合いを持ちかけてもかまいませんが、合意がまとまらなければ早めに家庭裁判所で「財産分与調停」を申し立てましょう。離婚後の財産分与は「離婚後2年以内」に行わないといけないからです。
調停を申し立てれば、調停進行中に時効が成立することはありません。時効期間が迫っているなら早く申立をして権利を保全しましょう。ただし離婚後の調停は、調停後、自動的に審判に移行することになります。この場合は離婚訴訟と同じ活動が求められるので離婚後の財産分与請求は一般論として調停がまとまる見込みが高くない限り弁護士に依頼することをおすすめいたします。
当事務所には財産分与の研究に非常に熱心な弁護士が所属しており、名古屋でも非常に詳しい部類に入ると自負しております。財産分与に関してお悩みの際には、是非とも名古屋駅ヒラソル法律事務所に一度ご相談下さい。
財産分与に熱心な弁護士がお役に立てるのは、家で頭金を支出しているとき、借金があるとき、退職金が問題になるとき、割合が5:5ではないといえるとき、住宅ローンがあるとき、結婚前に取得し婚姻後もローンを支払っていたとき、自宅を息子に取得させたいとき、医師の場合で財産分与割合について慎重に検討したいとき、オーバーローンの場合、自宅が一方の親の遺産であるとき、行政書士が妥当でない離婚協議書を送付してくるときが挙げられます。
不貞慰謝料と充当の有無
Q 不貞をした男性と同人の元妻との間で協議離婚が成立し、男性は慰謝料を支払いましたが、元妻が不貞相手方の女性に対しても慰謝料請求をした場合、どの様に対応すべきでしょうか。
A すでに離婚慰謝料が支払われたとして支払いを拒むことも考えられますが、若干の慰謝料を支払うなどの対応も考えられます。当事務所では請求棄却に導いた実績もあります。高裁まで争いましたが棄却されました。
不貞を行った男性が本件の慰謝料として支払った金銭は、不真正連帯債務に対する弁済となります。そして、不真正連帯債務の総額に充つる程度に弁済がされた場合、これを超えて元妻が不貞相手の女性に対して請求をすることはできません。つまり、客観的に200万円とすると、男性が元妻に200万円を支払ったとするならば、元妻の妻に対する請求は論理的には棄却されます。ただ、示談では少額の慰謝料を支払い終わりにするということもあり得るでしょう。
ただし、慰謝料の総額がいくらであるかは当事者間で争いのあるところです。特に一方から慰謝料を受領したうえで他方にさらに請求しているケースでは、受領している慰謝料では不足していると考えていることが多いと思われます。
結局、交渉段階で収めるために、若干の慰謝料をさらに支払うことも考えられます。なお、不真正連帯債務者の一方が自身の内部負担額を超えて弁済した場合には、内部負担額を超えた部分について他の不真正連帯債務者に求償することもできますので、別途、男性からの求償請求がされることも考えられます。ただ、どれだけ求償できるのか、という不倫に詳しい弁護士からの疑問も提起されているところです。
宿泊しただけでも不貞行為の証拠になりますか。
最近、国会議員と市議会議員の不倫で宿泊していないけれども、「一線は超えていない」という名言が飛び出しました。
しかし、これは裁判所には通用することは難しいでしょう。基本的に、ホテルの種類の有無を問わず同室に入ってしまった場合、不貞の推認力がかなり強く働くと考えた方が妥当です。
夫が交際相手とホテルに宿泊した証拠がありますが、これで不貞行為を立証できますか。
結論的には、不貞行為を推定できる証拠になり得ると思われます。
不貞行為は、その性質上第三者には秘密にして行われることが多いため、立証は用意ではありません。裁判所の判断においても、不貞行為を疑いつつも、不貞行為を認定するだけの証拠が足りないとすることも少なくありません。
ただし、不貞行為があったことを直接立証する証拠を入手することは困難であり、そこまで必要とされていない面もあります。不貞行為があったことを直接立証する証拠が無い場合は、不貞行為を推定できる証拠の有無が重要となります。裁判所に提出される証拠としては、写真、夫と不貞相手との会話などの録音データ、メール・メッセージのやりとり、携帯電話の受発信履歴、興信所による素行調査報告書などがあります。
ホテルの同じ部屋に二人で宿泊した証拠であれば、不貞行為を推定できます。ただし、不貞行為の証拠の収集については、その方法がプライバシーの侵害、違法収集証拠となり得るので、注意が必要です。なお、ホテルがシティホテルであるとか、ずっとトランプをしていたといった抗弁が出される場合がありますが、客観的な証拠がない限り、これらの主張が受け入れられるのは厳しいのではないかと思います。ある裁判官はこうした主張を認めるのは刑事裁判官出身が多く証拠の見方が厳しすぎるので高裁で見直しているというような見解もありました。
不貞行為を理由に地裁で配偶者を訴える場合の慰謝料額
不貞行為を理由に地裁で配偶者を訴える場合(一般的な離婚訴訟などでの慰謝料請求とは違います。)
1 基本的には、配偶者については離婚も視野に家裁で調停や人事訴訟をすることが多いことから、地方裁判所で不貞裁判が起こされるということは少ないと思います。しかしながら、有責配偶者の場合は、有責配偶者側からは、3要件を満たさない場合は調停や離婚訴訟を提起せず、また、他方配偶者側も婚姻費用など経済的事情から離婚を望まない場合、自ら離婚調停や離婚訴訟を提起するわけにはいきません。
そこで、地裁で不貞訴訟を提起するという流れが一般的なのではないかと思います。
請求額は平均350万円、認容額は90万円程度です。私が担当した別居夫婦の不貞裁判でも90万円前後でした。なぜでしょうか。これは、夫婦が家裁ではなく地裁で不貞訴訟を争う訴訟についてその限度で取り上げます。
2 公表判例をみると、それなりに行為態様が悪いものが多いものが多いような気がします。例えば、①妊娠をした、②不貞、悪意の遺棄、こどもの連れ去り、DV、③元妻が元夫に対して、不貞行為、暴言、嫌がらせ、離婚届提出強要がある。なお、私が担当した事案は、サッカー・サークルが不倫倶楽部になっており、妻が複数名と不倫をしていたという事案である。その後、DVでっちあげ、こども連れ去り、嫌がらせなどがあった。
3 さて、フレームワークをみると、判決文の当事者欄を埋めるために婚姻期間を記載する必要があるだけで、実際、認容金額と婚姻期間の関連性は認められなかった。
問題は、円満、中間的、破綻に瀕している、の婚姻破綻のレベルであるが、基本的に不貞時を基準とすると、円満、中間的なものが多いが、別居時を基準にすると、破綻に瀕しているものも多いと思われる。個人的な話題なところでいえば、裁判官は、不貞行為について、もともとの円満度合いについて破綻に瀕しているものが多いと考えているのではないかと思われる。そのため、90万円前後にとどまっていると思われる。ただし、配偶者は離婚訴訟でも財産分与、離婚に伴う慰謝料を支払う必要があるのであって、離婚慰謝料が90万円ではないことに注意を要する。
4 こどもについて言及しているものもあるが、やはり渉外系である。これは日本在住のアメリカ人が、アメリカ在住のアメリカ人と一緒に住む計画があったが、被告の不貞行為により実現できなくなったというものである。特に、判決文がないため不明であるが、長男をニューヨークに連れ去ったことについて、慰謝料算定の要素となっている。
5 ところで、色々議論はあろうが、我が国の不貞訴訟は学説は廃止論が通説化しており、離婚訴訟のように調整が必要となる場面が少なく、白黒つけるというような発想が多く、怒りをぶつけてくるような訴訟が、訴訟になると多いのが実態である。
しかし、こどもに関することは、アメリカに連れ去られた渉外家事については別途に考えられる。しかし、こどもも被害者であり、こどもも、不貞によって非監護親との別れなど共同生活の利益は喪失される。特に子の連れ去りなどで父親を失ったなどの喪失感は大きいケースがある。
しかし、日本の裁判官は、監護親の損害に織り込んでしまうのが実情である。つまり、不貞相手にこどもが賠償請求することは法的因果関係すらありそうなのにできないのが実務である。日本の民法がこどもの利益を無視した構造になっているところに問題があるといえる。
6 その他、不貞行為を理由として財産分与を放棄している合意がなされている場合は、財産分与を放棄することで慰謝料を支払ったものとするのが、当事者間の公平にかなうものとして、判決が30万円の限度で許容されている。
7 不貞行為を探索するための調査費用については、慰謝料算定の一事情として考慮することはあっても、そのままその費用負担を不貞行為と相当因果関係のある損害として認めた事例は見当たらないと思われる。
婚姻関係っていつ破綻する
不貞行為を理由とする慰謝料請求が認められるには、まず請求原因で不貞行為が存在することが必要で、かつ、それで足ります。しかし他方、最高裁平成8年3月26日判決は、欧米の不貞の慰謝料否定説の影響を受けて、不倫慰謝料が認められる範囲をしぼりこみました。具体的には、肉体関係当時、婚姻関係が破綻していた場合は、不倫慰謝料は発生しない、とされたのです。そこで、不倫をしたといわれている側は、当時破綻していたという抗弁を反論として主張することになります。
不貞訴訟では、婚姻関係の破綻、婚姻関係の破綻について過失なく破綻していると信じたという言い分が出されるのは、全体の半分にも上ります。
しかしながら、婚姻破綻が認められたケースは10パーセントほどです。不貞行為当時の破綻を認めなかったケースは9割に上ります。もっとも、裁判所は破綻の程度で慰謝料の額を調整しているので、9割がすべて円満とまではいえないのです。
パースペクティブ
藤崎十斗:不貞行為の慰謝料請求事件全体では妻が原告になるケースが7割です。
弁護士:個人的には、婚姻関係が争点になったものでは65パーセントということもあり、執務上の経験からいっても半々といった印象を受けます。
藤崎十斗:不貞行為の相手方だけを被告とするケースが80パーセントですね。
弁護士:これは難しいのですが、不倫慰謝料は離婚の前哨戦のような訴訟位置づけになることがあり、したがって不貞相手の方だけが被告となることが多いということのようです。ただし証人尋問にまで進むと、離婚の際の配偶者も敵性証人として出廷することも多いので、前哨戦、あるいは、離婚は終わったのにリターンマッチとして行われるという側面が社会学的にはみられますね。
藤崎十斗:同居を続けているケースもあるんだ。
弁護士:今回は、婚姻破綻がテーマなので、同居で破綻しているということは少ないのですが、家庭内別居、性交渉の少なさ、離婚届けの突きつけなどの事情によっては、家庭内別居が認められるケースも少なからずあるのではないでしょうか。
藤崎十斗:前倒しの議論になってしまいますけど、不貞行為が8月に行われていたら、7月に破綻なら認容、9月なら棄却となるわけですよね。したがって破綻時期の認定が問題になりますね。
弁護士:そうですね。ただ、十斗がいうような設題だととてもシビアな認定になると思うのですが、大局的な統計だと、婚姻破綻肯定のケースは1割、否定のケースが9割という中で、婚姻関係の毀損による慰謝料額の減額の方が実質は争点になっていると思います。ですから、学者が理論的に「破綻時期が争われる」というわけですし、裁判所もいつ破綻したのか関心がありますが、実務上は、信じて弁護活動はするのでしょうが、示談では、相対的に金額の提示をしているのではないでしょうか。
藤崎十斗:婚姻関係の破綻の程度が慰謝料額に影響するんだね。
でもさ、不思議だよね。そもそも、パパさんとママさんが、仲が悪くなったから不貞してしまったんでしょ。だったら、相手方からすれば、婚姻関係が破綻していたという主張が出るのは当たり前だよね。でも、先生は、9割は認められないという統計を示すわけで、なんか実態と裁判の乖離が見えるね。
弁護士:その理由はよくわかりません。一説によると、相手方だけが訴えられた場合、不倫相手の配偶者は訴訟外なので協力が得られないことが原因と指摘する見解もあります。しかし、現実には、求償権というものがありますから、訴訟外でも利害関係があります。ですから、不倫をした配偶者サイドも不倫が認められてしまうと「有責配偶者」として離婚が相当困難になるうえ慰謝料も法外な金額になりますから、婚姻は破綻していたという証明に協力することが実際は多いようにも思います。ですから、共同被告とされている場合と比べて、破綻が認められている率に有意な差がないのは、利益衡量上、実質的には変わらないからかな、と思います。
藤崎十斗:むしろ同居している場合は困難が伴いますよね。
弁護士:そうだね。例えば妻と不倫した男性の場合、妻が夫と同居しているというような裁判を数件やったことがありますが、妻としては「もとさや」に戻ることを選択した以上、婚姻関係は良好だったと証言するでしょうし裁判への出廷も拒むことが多いですね。そうなると、情報が客観的に少なくなる、夫婦関係の破綻の主張が認められない理由の遠因になる可能性がありますね。
藤崎十斗:社会的関係性が婚姻破綻と結びつくことはあるの?
弁護士:ないと思います。一般的には、関係性は、職場関係、従業員、顧客、風俗などですね。だから、直ちに婚姻関係が修復不能な程度に至っているというのは論理に飛躍があると思います。
藤崎十斗:正直、アンチソドミー法や覚せい剤取締法のように、かなり家庭内に踏み込む問題だから、その主観的関係性の証拠は限られるよね。
弁護士:最近は、ツイッターやインスタグラム、やや年齢層が上の人はフェイスブックをやっている人がいます。また、ラインの会話歴など証拠は時代の変化で増えつつあるかなと思います。
藤崎十斗:SNSが決定打になるの。
弁護士:こういう裁判は間接事実の積み重ねしかないので決定打はありません。一部では、不貞をした配偶者の自白の陳述書ないし証言が重要な証拠資料という見解もありますが、現在の居住環境をみると、信用できないケースもあるのでケースバイケースだと思います。
藤崎十斗:付け加えると、「婚姻破綻の時期が問題となる」という問題の立て方は正しいのかな。
弁護士:うん。現実は、不貞行為がいつあったかがそもそも不明、というケースもありますね。ですから期間で何か月間というわけですが、実際はピンポイントでの証明を好む裁判所もあります。ですから、「不貞行為が先にあって、その時点で破綻していたか否か」という問題の立て方もあるよね。特に裁判所は離婚の切り出しや別居が認められると婚姻破綻を認める傾向にあるから、不貞行為時において、婚姻破綻が後ろなんだ、ということを証明する責任が原告にあるということになりますね。このように、不貞行為の時期が破綻時期よりも前であることが不明である、ことから、請求が棄却されることも少なからずあるようです。
・婚姻破綻の認定要素
藤崎十斗:欧米では、自己決定で性交渉をしているのだから慰謝料請求は発生しないわけだけど、日本では、破綻しているか否かで区別するので、メルクマールを明確にする必要が本来あるよね。
弁護士:そうですね。まず、同居したままで破綻を認定した例はありません。
藤崎十斗:日本の裁判所は別居をもってイコール破綻と考えているようだよね。
弁護士:そうだね。別居がある場合、別居をもって破綻したと認定するケースは相当数あるよ。例外的に、別居後も交流がある場合や、突然別居されて他方が夫婦共同生活の意思を放棄しておらず破綻の認識がない場合は、破綻の認定はできない場合もあります。
藤崎十斗:ここら辺はポイントですね。
弁護士:そう、弁護士としては、別居したのに自宅にいろいろ理由をつけて戻っていると、上記の交流があるとされてしまうので、つらいですね。別居も食事をしているなどです。また、一方が破綻の認識がないといいますが家庭内別居状態、具体的には寝室を分けて性交渉もないというようなケースでは、破綻の認識がないというのも困難はあるでしょう。
藤崎十斗:単純に期間で決めればいいのにね。3か月とか。
弁護士:はは、最高裁平成8年は、別居3か月で破綻を肯定したんだよね。それが独り歩きしてついに別居で破綻まで来たかなという感じですね。
藤崎十斗:でも、どのような要素があるのかな。
弁護士:まあ期間の経過も一つだと思います。ただ、ポイントは不貞行為以前に離婚届けを作成、提出など離婚関連の動きがある場合、離婚調停を申し立てた場合が要素になるようです。
藤崎十斗:こうしてみてくると、いわゆる「火遊び」のようなものはアウトで、本気で離婚を考えているような場合は婚姻破綻が認められるのかな、と僕なりの整理になります。